- 掲示板
クールベ “近代絵画の父”
現代アートに繋がるモダンアート(近代絵画)の父は、3人いる。色彩のドラクロワ(1798―1863)、マチエールのクールベ(1819―1877)、主題を無効化するマネ(1832―1883)。クールベの裸体画は、「歴史画」の範疇(神話・宗教)で描かれていた女性の裸体を、現実の見たままの女性を描く。西洋絵画史上最大のスキャンダルといわれる《世界の起源》1866年に至る作品と、影響を与えた日本の『春画』を検証する。
サークルに参加すると投稿することができます
サークルに参加する- 2025/11/18 13:00「川辺でまどろむ浴女」1845年
クリックで拡大
サロンに初めて入選した「黒い犬を連れた自画像」1844年の翌年制作された。神話性を排した現実の女性の裸体を描いている。 - 2025/11/18 13:00「白い靴下」1846年
クリックで拡大
かなりエロティックなポーズで白い靴下がフィティッシュ。 - 2025/11/18 13:01「浴女たち」1853年
クリックで拡大
サロンに出品し激しい批判を受けた。理想化されたスタイルと陶器のような肌とは真逆の、しっかりした質量・質感を持った女性の背中の裸体を『醜い』と批判される。クールベは隣の侍女の表情には特別な意味はないと言っている。 - 2025/11/18 13:03「眠れる裸婦」1858年
クリックで拡大
ジョルジョーネ、ティツィアーノのヴィーナスにつらなる裸体画であるが、神話性を排した、現実の女性の寝室を覗いているように見える。 - 2025/11/18 13:10「泉」1862年
クリックで拡大
アングルの「泉」1856年を本歌取りにしている。同年にゴヤの「裸のマハ」を本歌取りにした「寝床の女性」も制作。本歌との比較も面白い。 - 2025/11/18 13:15「入浴する若い娘」1866年
クリックで拡大
1866年はクールベの裸体画の当たり年。水浴する娘の筋肉や脂肪の弾力性まで感じられる作品。 - 2025/11/18 13:18「女とオウム」1866年
クリックで拡大
サロンに発表されると、「見苦しいポーズ」「乱れた美しくない髪」と痛烈な批判を受ける。 - 2025/11/18 13:24「眠り」1866年 135cm✕200cm
クリックで拡大
トルコ(オスマン帝国)の前外交官ハリル・ベイの注文によるプライベートな作品。女性の同性愛を描いている。当時のパリではレズビアンは珍しくなかったらしい。 - 2025/11/18 14:00「世界の起源」1866年
クリックで拡大
「眠り」と同じくハリル・ベイの注文による作品。1868年ハリル・ベイの賭場の借金で売り出され、骨董商が購入、1889年エドモンド・ゴンクールが購入、1910年バンガリーの男爵の手に渡るが、第二次大戦末期ソビエト軍が略奪、戦後男爵が買い戻し、1955年オークションで高名な哲学者ジャック・ラカンが購入。1981年ラカン没により相続税を免除する引き換えにフランス国家に物入。1955年オルセー美術館に譲渡。
まるで、舶載茶道具の名品の来歴のように、高名な人々の手を経ている。胴体と女性器だけで、顔が見えない女性のモデルは誰かと長らく謎であったが、最近の研究により、バレエダンサーのコンスタンス・ケニオウが本作のモデルであることがほぼ確実だという。ケニオウはクールベに絵を依頼したハリル・ベイの愛人だった。 - 2025/11/18 14:05「世界の起源」は現在でも象徴的作品である。
クリックで拡大
デボラ・デ・ロベルティス(1984年2月12日)は、ルクセンブルク出身のパフォーマンスアーティスト兼写真家。2014年、オルセー美術館でギュスターヴ・クールベの絵画『世界の起源』の前で性器を露出させる即興パフォーマンス『起源の鏡』を披露したことで、彼女は初めてメディアの注目を集めた。 - 2025/11/18 14:31クールベの「世界の起源」は国芳の「逢見八景」の影響が考えられる。当時のパリには幕末頃の浮世絵、春画が大量に流通していた。
クリックで拡大
「逢見八景」1833年頃より
歌川国芳(1798―1861) 近江八景のパロディ。近江八景は、中国の「瀟湘八景」を模して、琵琶湖周辺の名所・旧跡を選んだ8つの景色。
景色のミニチュアを浮かべた盥に映っている女性器の構図。西洋では、ミケランジェロのダビデ像など男性器は平気で露出しているのに、女性器はなぜか隠している。こうして女性器をあっけらかんと、国芳らしいユーモアとしゃれに満ちた構図は当時からかなりインパクトがあったらしい。
Googleでログイン