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映画「春の画SYUNGA」の春画

2023/12/01 11:33
やまちゃん1
2023年11月公開のドキュメンタリー映画「春の画SYUNGA」に登場する春画から厳選した作品を考察する。

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  • 2023/12/01 11:38
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    鈴木春信 風流艶色真似ゑもん 1770年刊行

    鈴木春信(1724〜1770) 細身で、繊細可憐な表情の美人画で春信調が一世を風靡した。男性は中性的で一見男女がわからない。
    「風流艶色真似ゑもん」は仙女から妙薬を貰い、豆粒大の小人になった浮世之介が「真似ゑもん」と名乗って、色道修行に出かけ、様々な情交を見て廻る物語。真似ゑもんを探すのも楽しい。
  • 2023/12/01 11:46
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    鳥居清長 袖の巻(全12図) 1785年

    鳥居清長(1752〜1815) 鳥居派四代目当主。晴信と歌麿の間の天明期に活躍。六大浮世絵師(晴信、歌麿、写楽、北斎、広重、清長)の一人。八頭身美人画が有名。袖の巻は、男女交合図が11図。縦12cm、横約67〜cmの横長のサイズに、男女の交合を絶妙にトリミングしており、性の喜びにみちた表情、端正な線、粋な色彩で春画の最高傑作の一つと云われる。「春の画SYUNGA」でもメインの春画。写真は袖の巻から交合あとの男女の幸せな笑顔。
  • 2023/12/01 12:26
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    喜多川歌麿 歌まくら(12枚組) 1788年

    喜多川歌麿(1753〜1806) 蔦屋重三郎を版元にヒット作を連発。幕府の奢侈禁止令に対して、判じ絵で対抗するなど反骨精神もある。秀吉の「醍醐の花見」を題材にした事で、1804年に幕府に捕縛され手鎖50日の処分を受けた。2年後の1806年に死去。
    「歌まくら」は歌麿の枕絵を代表する作品。引く視点から、男女の肢体をクローズアップした構図。上昇期の歌麿のエネルギーが横溢している意欲作。
    写真は、茶屋で後家が久し振りの情事に恥じらう、留袖の裾から男のニヤけた顔が透けている。
  • 2023/12/01 12:34
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    喜多川歌麿 ねがいの糸口 1799年

    歌麿晩年の傑作。成熟期を代表する春画。
    写真は、夫婦だろうか、髪繕いをしていた女房に発情した亭主か? 男のふんどし、女の襦袢の赤が印象的で、鏡に映る女の足の指がスタイリッシュ。
  • 2023/12/01 14:08
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    葛飾北斎 冨久寿楚宇 1815年頃
         浜千鳥

    葛飾北斎(1760〜1849)は、世界で最も有名な日本人画家。「富嶽三十六景」「北斎漫画」などは世界中の芸術家に影響を与えた。1998年の「LIFE」誌の特集「過去1000年で最も重要な人物はだれ?」で19世紀の画家で、印象派、ゴッホなどをおさえ、ただ一人北斎が選ばれている。その広範な才能は、レオナルド・ダ・ヴィンチに比すと評価されている。
    その北斎は春画でも驚嘆すべき作品を残しており「喜能会之故真通」の「蛸と海女」は最有名な浮世絵の一つだろう。
    「冨久寿楚宇」は、男女の肢体を画面いっぱいにえがいている。絡み合いの構図や衣服はバロック的ともいえる装飾性を持っている。後に豪華本に改題再版された「浪千鳥」の本歌である。
    写真は、貝の入ったビクがある浜辺で、奔放な海女の妻に、おまえ浜で浮気していただろと詰問する漁師の亭主に、そんなことより気持ちよくなろうと誘惑する妻。
  • 2023/12/01 14:56
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    葛飾北斎 浪千鳥 1818〜30年

    「冨久寿楚宇」を本歌とした、雲母摺(きらずり)の豪華本。歌麿の「歌まくら」と並び春画の最高峰と目されてきた。
  • 2023/12/03 14:44
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    「春の画SYUNGA」で、著名な浮世絵コレクター、ミカエル・フォーニッツ氏が桐箱から巻物を取り出し、紐をとき、画巻をひらくと、金箔の煌めきに抱擁しあう男女の交合の画が燦然と現れる。映画でも極めて印象的場面である。
    作者は月岡雪鼎(つきおかせってい)、肉筆春画の第一人者である。雪鼎(1726〜87)は、江戸中期の絵師で春信、若冲、応挙、蕭白の同時代人です。おもに大阪で活躍しました。京狩野派の高田敬輔(蕭白の師)に師事し、西川祐信の影響を受け肉筆美人画を描いたそうです。
    正統的絵師と認められて、1778年には絵師の最高位である法眼に推免されています。

    写真は、四季画巻(1768〜72年)から「春」、四季の花と女性の成長を並べて描く。春、椿と梅、嫁入りした少女。夏、花菖蒲、営みにも慣れてくる。秋、菊、妊娠している。冬、水仙、性の喜びにひたる。
  • 2023/12/03 14:50
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    月岡雪鼎の「春宵秘儀図巻」(1764〜73)。
    『天明の大火の時、焼け跡の中になぜか残った蔵があった。訝しんだ人々がその蔵の中に入ってみると、その持ち主も見覚えのない雪鼎の春画があったという。この逸話が広まり雪鼎の春画は火除になると評判が広がり、値が十倍にもなったという。』
    局部に淫水がからむ、恍惚とする女の描写が美しい。
  • 2023/12/03 15:01
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    映画で春画の始まりとして紹介された「小柴垣草紙」。後白河法皇のプロデュースで院の周辺にいた一流の画家によって描かれた。実際にあった、斎宮と滝口武者が斎戒沐浴中に密通するという事件を絵巻にしている。「伴大納言絵巻」「病草紙」「地獄草紙」などと蓮華王院宝蔵に納められたという。
    原本は失われており、多数の写本が存在する。
  • 2023/12/04 15:35
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    勝川春潮 好色図会十二候 1788年

    勝川春潮。 生没年不詳。主に寛政年間(1789 〜18019)に活躍した浮世絵師。勝川派の祖・春章の門人。役者絵を得意とする 勝川派に属しながら手がけた役者絵作品 は少なく、鳥居清長の画風を模した、紅嫌いの優艶な美人画を多く残している。後年、絵師をやめ吉左堂俊朝と称して狂文狂歌を残したという。

    「好色図会十二候」は、男女の交合を十二ヶ月に描く。写真は、第三図四月(陰暦) 町家の二階で楽しそうに交合する二人。ホトトギスが飛ぶ春の陽の空。
  • 2023/12/05 12:05
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    鳥文斎栄之 源氏物語春画巻 全12図 肉筆春画

    映画には登場しなかったが、今注目している絵師が鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし:1756〜1829)。喜多川歌麿と同時代人で人気を二分したと云われる。彼が異色なのは旗本出身で、第十代将軍徳川家治(1737〜86)の御小納戸役として「絵具方」という役目を務め、御用絵師狩野典信(1730〜90)に絵を学びましたが、家治の逝去で引退し、武士を捨て浮世絵師になります。鳥居清長風の長身(清長の八頭身を超え十二頭身)で紅嫌いの楚々とした独自の美人画様式を確立した。さらに寛政10年(1798)頃から肉筆画に専念している。寛政12年(1800)頃に、後桜町上皇の御文庫に隅田川の図を描いた作品が納められる栄誉に浴している。特に、上流階級や知識人などに愛され名声を得ていた。

    写真は、「源氏物語春画巻」全12図から部分。源氏物語を題材にした春画巻。各図に「帖」を象徴するモチーフを配し、右に帖の和歌を書し、情交を描く。
  • 2023/12/05 12:27
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    鳥文斎栄之 春の戯れ 肉筆春画

    写真は、裕福な商家の娘だろうか、琴、鼓、床には「枕さうし」の書物箱。鳥文斎栄之の雅への志向が見える。

    鳥文斎栄之の作品は海外流出の優品が多く、里帰りで今後評価が高まると思う。
    千葉市美術館で開催(2024.1.6〜3.3)される、「サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展」がそのきっかけになるかもしれない。
  • 2023/12/05 13:57
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    歌川国貞(1786〜1865)は、歌川豊国の門人で、多作の絵師として知られ、工房を経営し生涯一万点以上の作品を発表した。
    春画本の「三源氏」、「花鳥余情吾妻源氏」「艶紫娯拾餘帖」「正冩相生源氏」は多色摺木版画の頂点といわれ、豪華で細密な超絶技巧が見られる。寛政の改革(1790)によって摺り数まで規制された浮世絵は、地下出版の春画で職人は技術を競った。空摺、艶摺などの高等技術、金、銀、青貝など豪華な絵具を惜しみなく使用している。

    写真は、「正冩相生源氏」1851年頃。一説によると、幕末の名君、越前藩主松平春嶽公が贈答用に特注した私家本らしい。
  • 2023/12/05 14:20
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    勝川春英 春画幽霊図(1789〜1818) 双幅
    絹本着色  

    勝川春英は、勝川派祖の勝川春章の門人。役者絵で人気を博す。
    写真は、今なお未練が消えない、白の経帷子をきた女の幽霊が、苦しみながらも勃起する眠る男の一物を自分の中に入れようとしている。
  • 2023/12/05 14:35
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    歌川国貞 開談夜之殿 1826年

    入水心中を図ったが、男だけが生き残る。川辺に流れ着いた女の死体に手を合わせる居合わせた男の右頁を開き、上に開くと!男の一物を食い切った幽霊が飛び出す!
  • 2023/12/05 14:57
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    歌川国貞 春情肉臥間 下

    かなりデカダンスに傾斜しているが、構図が面白い。ちょと見える男の頭部、手の組み方、女から溢れる淫水と肉感的尻が生々しい。
  • 2023/12/05 15:12
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    渓斎英泉(1970〜1848) 北斎とともに春画界を席巻した絵師。幕末まで活躍した。

    写真は、「閨中紀聞枕文庫」より(1822〜32)
    もはや春画なのか? エログロ趣味か、それとも医学的興味か?
  • 2023/12/05 15:36
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    月岡芳年 英名二十八衆句稲田久蔵 1867年

    月岡芳年(1839〜1898) 幕末から明治時代に活躍し最後の浮世絵師といわれる。江戸生まれだが、月岡雪鼎に繋がる月岡家の養子となる。歌川国芳の門人となる。

    写真は、歌舞伎の残酷シーンを集めたもの。無惨絵の代表で血まみれ芳年と呼ばれる。
  • 2023/12/05 15:45
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    エログロ、デカダンスの春画から、明るい春の画に戻る。

    鳥居清長 色道十二番 1784年
  • 2023/12/05 15:51
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    六大浮世絵師の初め、鈴木春信の美しい浮世絵

    雪中相合傘 1767年
    原画はシカゴ美術館蔵。写真はアダチ版画の複製再版

    雪中に黒白衣装の仲睦まじい相合傘。黒白の着物は空摺の柄が入っている。

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