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葛飾北斎 富久寿楚宇

2025/06/30 10:39
やまちゃん1
本来は大判錦絵12枚に序文と付文を合わせた折帖形式のものであった。北斎の門人たちの関与が推測される春本がいくつかある中、署名はないけれども、北斎自身の筆によると広く認知されている作品である。その画風から、『喜能会之故真通』以降『万福和合神』以前、文化12年(1815) から文政前期頃の制作と推測される。男女の体を画面いっぱいに大きく捉えているのが特徴で、背景の描写は少なく、書き入れのための余白も十分に取られていない。しかし、そのような画面から溢れんばかり肉体の力強さこそが、北斎ならではの描写と言えるだろう。なお、蚊帳のそばで口付けをする男女の図が含まれるが、女性の顔が男性の後頭部で半分隠される構図で、喜多川歌麿の『歌満くら』 からの学習を指摘できる。本作品は、後に新しく版を起こし、背景を紅雲母摺や白雲母摺とした『会本佐勢毛が露』や『浪千鳥』といった改題再版本が刊行されている。後世までの需要の高さを物語っていよう。(日野原)

74 富久寿楚宇 葛飾北斎

文化12年~文政年間前期(1815~30) ミカエル・フォーニッツコレクション

引用元 SHUNGA 永青文庫 2015 より

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  • 2025/06/30 11:12
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    富久寿楚宇 第2図
  • 2025/06/30 11:13
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    富久寿楚宇 第5図
  • 2025/06/30 11:20
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    富久寿楚宇 第10図
    大きな魚籠を傍らに、浜辺でことを始めた男女。女は浮気な海女で、それに嫉妬する漁師であるが、有無を言わせず情事に持ち込もうとする女のたくましくも奔放な姿態が見どころ。
  • 2025/06/30 11:26
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    富久寿楚宇 第11図
    「あれさ、きたねぇおよしよ」といいつつ、まんざらでもない、恍惚たる女の表情が印象的。
  • 2025/06/30 17:07
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    富久寿楚宇 第1図

    (人妻)「今夜は家で留守だから、もふく嬉しくってくならぬ。こんな落着いた晩はねこから抜ずに堪能させておくれ。それ(そこをきつく、もつと抱しめて。フンゝハアゝ、行くといつてはもふゝゝ」

    (間男)「そふさゝスウゝ。今夜は宿六は留守なり。おめへも堪能せにやァならねヱ。フンフンそふよがられちやア、おれも止まらぬ、一緒に行かァナ。ハアゝスウゝ」
  • 2025/06/30 17:14
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    富久寿楚宇 第9図
    喜多川歌麿の歌満くら第10図の引用

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