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溝口健二の10大傑作

2026/08/20 15:02
やまちゃん1
国立映画アーカイブの溝口健二展で解説されている10大傑作をまとめました。

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  • 2026/08/20 15:33
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    溝口健二の十大傑作①

    瀧の白糸

    1933

    泉鏡花の「義血侠血」を原作とする、無声映画期の溝口を代表する新派メロドラマ。愛する青年の夢を叶えるべく身を削って仕送りをする水芸の太夫・瀧の白糸の破滅を、美貌と気品のスター入江たか子に演じさせるという意表の企画だったが、溝口の容赦ない演出と三木茂の軟調の撮影が見事にマッチした。入江が兄の東坊城恭長と設立した入江ぷろだくしょんは当時極めて珍しかった現代劇女優の個人プロダクションだが、溝口にはそんな入江に意地悪く当たる一面もあった。

    製作 入江ぷろだくしょん

    原作泉鏡花

    脚本 東坊城恭長、館岡謙之助、増田眞二

    撮影 三木茂

    美術 西七郎

    出演 入江たか子、岡田時彦、村田宏壽、 菅井一郎、見明凡太朗
  • 2026/08/20 15:35
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    溝口健二の十大傑作②

    浪華悲歌

    1936

    大阪を舞台に、電話交換手のアヤ子(山田五十鈴)

    が困窮する家族を救おうと犠牲になるが、かえって家族や世間からの厳しい風当たりに苦しむことになる。戦前期の女性に対する社会的な束縛のありようを鋭く切り取った女性ドラマで、日活を脱退したプロデューサー永田雅一に従って第一映画に加わった溝口の最初の映画であった。20日ほどで仕上げることを余儀なくされたが、全篇が関西弁という脚本の新鮮さと山田の熱演により、近代都市大阪のモダニズムも香る生き生きとした一篇となった。

    製作

    第一映画社

    原作 溝口健二

    脚色

    依田義賢

    撮影

    三木稔

    出演 山田五十鈴、梅村蓉子、大倉千代子、 浅香新八郎、志賀酒家辨慶、進藤英太郎
  • 2026/08/20 15:36
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    溝口健二の十大傑作③

    祇園の姉妹

    1936

    『浪華悲歌』では大阪弁の言葉遣いが気になって演出が手薄になったという監督が、本作では京都の花街に生きる姉妹芸妓の人物造型に挑んだ。人情に弱い古風な梅吉(梅村蓉子)と打算的な妹おもちゃ(山田五十鈴)は対照的な性格ながら、ともに男にもてあそばれ社会の犠牲者になってゆく。結末のおもちゃの絶叫とともに、溝口=依田コンビによるリアリズム路線は当時から絶賛を浴び、『浪華悲歌』と本作によって第一映画社は短命ながら日本映画史に輝くプロダクションとなる。

    製作 第一映画社

    原作 溝口健二

    脚色依田義賢

    撮影 三木稔

    出演 山田五十鈴、梅村蓉子、志賀迺家辨慶、 久野和子、大倉文男、深見泰三、進藤英太郎
  • 2026/08/20 15:38
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    溝口健二の十大傑作④

    元禄忠臣蔵

    1941-1942

    歌舞伎や映画でおなじみであるスペクタクル性重視の「仮名手本忠臣蔵」ではなく、史実を徹底調査した《真山版》の「忠臣蔵」を原作とする。溝口の時代考証への熱意に応え、美術監督水谷浩は常軌を逸した原寸大の「松の廊下」セットを建設したが、まるで画面に映らないところまで精密に作ったためさすがの溝口も驚いたという。また後篇では、「ショーは撮らない」という溝口がセットまで完成させながら 「忠臣蔵」定番の討入りシーンを撮らず、討入りの様子は間接的に語られるという方法が採られた。

    製作興亜映画 [前篇]/松竹(京都撮影所)[後篇]

    原作 眞山青果

    脚本原健一郎、依田義賢

    撮影 杉山公平

    美術 水谷浩

    音楽 深井史郎

    出演

    河原崎長十郎、中村翫右衛門、河原崎國太郎、 嵐芳三郎、坂東調右衛門、助高屋助藏、 瀬川菊之丞、市川笑太郎、三浦光子、 山路ふみ子、山岸しづ江、小杉勇、 梅村蓉子、高峰三枝子、河津清三郎
  • 2026/08/20 15:39
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    溝口健二の十大傑作⑤

    夜の女たち

    1948

    敗戦直後の焼け跡に生きる3人の女の凄惨な生き様を描き、戦後溝口の本格的な復活を告げた一篇である。この時代はそうした女性たちを扱った小説が幾たびも映画化されたが、久板栄二郎の原作による本作は特にヒットしたという。イタリアのネオレアリズモ映画にも触発された溝口は、大阪の荒廃した市街地でロケーション撮影を敢行し、暴力的な描写も辞さない冷徹な視線を貫いた。日本映画史においても占領期を代表する一本と見なされている。

    製作 松竹(京都撮影所)

    原作

    久板栄二郎

    脚本

    依田義賢

    撮影

    杉山公平

    美術

    水谷浩

    音楽

    大澤壽人

    出演

    田中絹代、高杉早苗、角田富江、永田光男、 村田宏壽、浦辺粂子、毛利菊枝
  • 2026/08/20 15:41
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    溝口健二の十大傑作⑥

    西鶴一代女

    1952

    井原西鶴「好色一代女」の映画化は溝口が長年温めていた企画で、野心あふれるプロデューサー児井英生を得て実現した。「好色」のエロティシズムよりは女性の苦渋を克明に描き、封建的な男性社会に弄ばれた女の波瀾に満ちた生涯が綴られるが、田中絹代は少女期から老女まですべての時代の「お春」を堂々と演じ切った。1952年のヴェネチア国際映画祭で監督賞を受賞し、海外に溝口の名を知らしめるさきがけの作品にもなった。

    製作

    児井プロダクション・新東宝

    原作

    井原西鶴

    脚本

    依田義賢

    撮影

    平野好美

    美術

    水谷浩

    音楽

    斉藤一郎

    出演

    田中絹代、山根壽子、三船敏郎、宇野重吉、 菅井一郎、進藤英太郎、大泉滉、 清水將夫、加東大介
  • 2026/08/20 15:42
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    溝口健二の十大傑作⑦

    雨月物語

    1953

    戦国の世の琵琶湖畔を舞台に、金欲に取り憑かれて妻まで犠牲にした男どもが、妖しい幻に翻弄されてすべてを失ってゆく様を、厳密に構築されたなまめかしいキャメラ移動を駆使して描写した。上田秋成の怪異小説を基にした川口松太郎の連載小説を依田義賢が脚本にしたもので、1953年にヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞、アメリカやフランスでも劇場公開されて高い評価を受けた。その幽玄極まる世界により、しばしば映画作家溝口の最高作とも見なされている。

    製作 大映(京都撮影所)

    原作

    上田秋成

    脚本 川口松太郎、依田義賢

    撮影

    宮川一夫

    美術伊藤熹朔

    音楽

    早坂文雄/音楽補佐 斉藤一郎

    出演 京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、 小澤榮、青山杉作、羅門光三郎
  • 2026/08/20 15:43
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    溝口健二の十大傑作⑧

    山椒大夫

    1954

    森鷗外の有名な短篇を下敷きにした、親から引き離されて奴隷生活を強いられた兄妹(花柳喜章・ 香川京子)の悲劇を綴った作品であるが、溝口がスタッフに命じた中世の荘園や奴隷制度に対する厳密な調査が反映されており、また溝口作品としても稀なほどの澄んだ感覚を持つ。すすきの原やラストの親子再会のシーンなどでは宮川撮影の真骨頂が見られ、溝口作品は本作で3年続いてヴェネチア国際映画祭で賞を受けた。

    製作 大映(京都撮影所)

    原作

    森鷗外

    脚本

    八尋不二、依田義賢

    撮影

    宮川一夫

    美術

    伊藤熹朔

    音楽

    早坂文雄

    出演

    田中絹代、花柳喜章、香川京子、 進藤英太郎、菅井一郎、見明凡太朗
  • 2026/08/20 15:44
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    溝口健二の十大傑作⑨

    近松物語

    1954

    原作は近松門左衛門の浄瑠璃「大経師昔暦」。スターらしい男性スターを避けていたとされる溝口が初めて長谷川一夫を起用、『山椒大夫』で認められた香川京子との間に映画史上に残る悲痛な恋の逃避行を演じさせた。モノクロームの階調の繊細さを極めた宮川一夫の撮影、宮川の華麗なカメラワークを可能にした水谷浩の繊細なセット造形も功を奏し、逃げた二人が心中を一旦決意する湖上のシーンなど、凄絶さの中に清らかな印象さえ残す名篇である。

    製作 大映(京都撮影所)

    原作

    近松門左衛門

    脚本

    依田義賢

    撮影

    宮川一夫

    美術

    水谷浩

    音楽

    早坂文雄

    出演 長谷川一夫、香川京子、進藤英太郎、 小澤榮、菅井一郎、田中春男、石黒達也
  • 2026/08/20 15:46
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    溝口健二の十大傑作⑩

    赤線地帯

    1956

    溝口健二の遺作。題材としては『夜の女たち』に類するが、当時国会で討議中だった「売春防止法案」 を視野に、溝口の弟子筋に当たる成沢昌茂がシナリオに仕上げた。東京吉原にある赤線廃止前夜の娼館にさまざまな事情で吹き寄せられた、バイタリティに満ちた女たちの悲喜が豪華なキャストで描かれるが、そのリズミカルな演出の先に重々しい味わいも残す一篇である。3月の公開後、次作『大阪物語』 の脚本が依田義賢により完成していたが、撮影には至らず溝口は8月に死去、企画は吉村公三郎に引き継がれた。

    製作 大映(東京撮影所)

    脚本

    成沢昌茂

    撮影

    宮川一夫

    美術

    水谷浩

    音楽

    黛敏郎

    出演 京マチ子、若尾文子、三益愛子、木暮実千代、 菅原謙二、川上康子、進藤英太郎
  • 2026/09/03 00:37
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    残菊物語 1939
    小説『国宝』の原作者吉田修一は溝口健二の『残菊物語』を観たことが、執筆の決定打になったと語っています。芸道物の金字塔ですね。
  • 2026/09/03 06:02
    残菊物語

    一九三九(SH) 松竹京都●白黒●2時間23分●構成=川口松太郎● 脚本=依田義賢●撮影=三木滋人、藤洋三●音楽=深井史郎●美術= 水谷浩

    出演=花柳章太郎、森赫子、高田浩吉、河原崎権十郎、梅村蓉子、志賀廼家弁慶

    *周囲から見放された歌舞伎の御曹司・菊之助は、弟の乳母・お徳の献身的な愛に支えられ茨の芸の道を歩むが――。芸道物の金字塔の一本にして、長回し撮影を多用した緊張感漲る画面の連続から溝口の神髄に触れられる奇跡の傑作。

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